TEN SKETCHES OF ME

About   ”TEN SKETCHES OF ME”

バンド時代に遡って、プロミュージシャンとしての活動は今年でかれこれ22年になる。バンドを離れてからはプロデュースやアレンジ、詞や曲の提供や演奏など、自分の出来得る範囲で人に頼まれたことは何でもやってきた。やってみればどれも本当に楽しく、遣り甲斐のあるものばかりで、それまで知らなかった沢山の発見や感動があった。でもその一方、心の片隅からこんな声が聞こえていたのも事実。「オマエは一体何者なのか?」「オマエが目指しているのは何処なのか?」。

振り返れば、バンドを始めた時からずっと聞こえていたのかも知れないこの声は、時が経つに連れて次第に大きくなっていき、やがてピークに達しようかという矢先の2007年、あるオファーをきっかけにしてついに、自分自身を探るためのアルバム作りに着手するという暴挙?へと発展した次第である。

ソロアルバムの話は過去に幾つか頂いていたが、その度にいつも二の足を踏んでいた。心の声がまだ小さかったのかも知れないし、100%自分を表現することに気恥ずかしさのようなものを感じていたのかも知れない。気恥ずかしさは今でも十分すぎるほどなのだが、もう、そうも言ってられない。

きっかけは『NEW WAVE』というオムニバスアルバムへの参加の誘いだった。それは各アーティストがそれぞれ、所謂ニュー・ウェーブの曲をカバーするという趣旨のもので、僕はここで自分のアルバムに収録するための1曲を作ることにした。選んだ曲はその昔、彼がやっていることに大きなシンパシーを感じていた、同じ歳のBen Wattの名曲「North marine drive」。で、歌はどうする?さあ、ここで先述の気恥ずかしさが頭をよぎる。う~ん、誰かに歌ってもらおう。丁度その頃、気になっているシンガーがいた。Bei Xu。ニューヨーク在住の女性ジャズシンガーだ。偶然カーラジオから流れる「A happy new year」(ユーミンのカバー。その時は知らなかった)を聴き、興味を持っていた。頼んでみると嬉しいことに快諾の返事。なんでも、以前オリジナル・ラヴの「月の裏で会いましょう」をカバーする予定があったとかで、ちょっとしたシンクロニシティー。
優しさと憂いを湛えた、それでいて力のある彼女の声は、この曲のアレンジにピッタリだった。レコーディングは大成功。気を良くした僕は続けて2曲、自分のオリジナルも歌ってもらうことにした。

参加して頂いたゲストは他に二人。具島直子、花田裕之の両氏。具島さんはその声の素晴らしさから、ずっと以前よりいつか一緒にと考えていたアーティスト。花田君はロックレジェンド、ルースターズの元メンバーであり、尊敬する先輩。

TEN SKETCHES OF ME… 自分が聴いてみたかった音楽。

当然ながら、この作業に於いても今まで知らなかった沢山の発見や感動があった。この探求の面白さは当分やめられそうに無い。願わくはこの10のスケッチが、皆さんの中でより多くの色彩を伴って映し出されんことを。

2009年5月 キハラ龍太郎

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